今年のサマーインターンシップは山口県インターンシップ推進協議会様と協力して開催することになり、山口大学経済学部3年の江本直紀さんと同人文学部3年の田中千佳子さんのお二人に参加いただきました。二人とも近くに住んでいることから、初めてではないかと思うのですが、ホテル宿泊なしで開催されたインターンシップとなりました。
 二人とも爽やかで素直な学生で、礼儀も正しく、自分の若い頃よりも立派だなぁと感心しました。

上の写真は、最終日にインターンシップ修了証を手渡した後のスナップです。
下の写真は、プレゼン中の会議室の様子です。

恒例によりましてインターン生の感想文をいただきましたので掲載させていただきます。

【江本さん】 
 私は大学で知的財産権について授業で学ぶうちに、知的財産権について興味がわき、実務についても学びたいと思うようになり、今回特許事務所を希望しました。インターンシップは、5日間にわたって行われ、初日と2日目は主に特許制度や特許出願書類などについてのレクチャーを受け、3日目以降は実際に特許出願の書類作成の実習を行い、最終日に発表しました。

 大学の授業で特許権などについて既に学んでいましたが、実際に特許出願の方法などは大学で学ぶことはできず、貴重な経験をすることが出来ました。実習では、まず、渡された糸ようじがそのまま特許出願ができるのかを調べるため、既に特許申請されている似た製品を調べることで特許を受けるために必要な要件を満たすことが出来るかどうかをチェックしました。そして、調べた結果、既に渡された糸ようじが既に特許を受けていることが判明したため、その糸ようじに自分で新たな改良を加えることで特許を受けることが出来る新たな糸ようじを考え、その新たに考えた糸ようじについての特許出願書類の作成をしました。まず、既に特許を受けている他の製品とは被らない新たな改良点を考えることが大変でした。自分で新たな改良を施した製品を考えついても、それが特許を受けることが出来るものかどうか他の似た製品を調べても見落としがあるのではないか、と常に不安になりました。

 そして、特に大変だったのが、特許出願書類を作成する中で、自分が頭に描いている製品の構造や作用などそのすべてを正確に言葉で表現することでした。頭で描いている製品を言葉で表現する際に、必要以上に限定した言葉で書いてしまったため、受けることが出来る特許の範囲が狭まってしまったり、逆に、正確に限定した言葉で書いていなかったため、自分が思い描いていたこととは別の捉え方が出来るようになってしまったりと、文章の1つ1つについて、自分が思い描いているものを正確に、必要な分だけ記載することが出来ているのかどうかを常に考えなければならず大変でした。特許事務所のお仕事は、依頼人であるお客様が開発した製品を代わりに特許出願することなので、特許を受けることが出来る範囲を狭めてしまうなどのミスをすることは決して許されず、常に細心の注意を払うことを必要とする大変なお仕事なのだと実感しました。なんとか特許出願書類を全て完成させたときは、それまで自分の頭の中でしか描かれていなかった製品が実際に文章で表現され、それを読めば、他人もその製品をイメージすることが出来るということに達成感を感じました。

 今回のインターンシップを経験して感じたことは、言葉を知っておくべきだということです。文章で何かを表現するとき必要なことは、やはり少しでも多くの言葉を知っておき、その言葉の意味を正確に理解しておくことなのだと痛感しました。この文章で何かを表現する能力は、特許出願書類を作成することに限らず、どの仕事に就いても必要なことであり、また、日常生活であっても、他人に正確に情報を伝えるために必要なことだと思います。今回の経験を活かし、これからの学生生活では、新聞を読むなどして少しでも多くの活字に触れ、また、考えていることを文章にして書きだす訓練をして、この能力を鍛えていこうと思います。

【田中さん】
 井上様、金井様、維新特許事務所の皆様、
 お忙しい中、未熟者な私を温かく受け入れて、丁寧にご指導いただきましてありがとうございました。
 私は山口大学で1年生の課程で知的財産権について学び、特許について興味を持ったことから維新国際事務局のインターンシップに応募しました。まったく知識もなく大学での研究も法律関係ではないため、不安もありましたが、知的財産権についてレクチャーしていただき、特許出願書類の書き方も丁寧に指導していただいたことで、5日間のインターンを無事に終えることができました。重ねてお礼申し上げます。

 今回のインターンでは知的財産権の中でも主に特許を取得するまでに作成する書類作成の研修を受けました。実際に、特許出願書類を書いてみて、読解力や文章力が必要だということが分かりました。簡単な機構のものでも文章で特許の内容を分かりやすく示そうとすると、大変な努力が必要でした。また特許出願書類を書く上で細かい決まりごとがあって、その決まりを守らなければ、審査に通らないことを知りました。自分が考えて書いたつもりでも、事務所の方々に指摘されて気付いたミスが多くあって、そこをシビアに仕事されていることと、自分の意識がまだまだ足りていなかったことが理解できました。最も難しかったのは構成、効果、作用を順序よく書くことでした。実際に書くと、効果と作用はどう分けてどう表現して書けばいいのか分からなくなりました。また、先行文献の調査も指導していただきました。どれだけ調べても他に似た特許文献がないのかと疑問に思ってしまい、先行調査の重要さと難しさを感じました。実際に明細書や特許請求の範囲を書いてみたことで、特許出願に至るまでの難しさと事務所の方々がお客様に対して責任感を強くもって業務にあたっていることが分かりました。

 業務外の時間に仕事に対する考え方も聞けたことが大きな収穫でした。大学生活の中ではなかなか聞けない貴重な機会で、自分が今後仕事に就いて働くうえで大変役に立つことをアドバイスしていただきました。実際に社会に出て働いている先輩方の話を聞いて、この先就職してそこがゴールではなく、さらにそこから自分の興味関心にしたがって人生を設計していけることが分かりました。これから就職活動をする上で自分の興味関心の幅を広げて、チャレンジしていきたいと思います。知的財産権についてさらに興味を持ったので山口大学で行われる講座への参加意欲になりました。今回学んだことをいつか役立てることができればと思っています。
 
 5日間という短い間でしたが、熱心に指導していただき本当にありがとうございました。