今年のサマーインターンシップは、募集掲載を行った日から問合せをいただき、ご応募は定員を大きく上回りました。年々、少しずつですが弊所のインターンシッププログラムが知られるようになったのではないかと喜んでいます。
例年通り、今年も所員全員で応募フォームを採点して、上位3名を選考いたしました。その結果、群馬大学大学院工学部電気電子工学専攻(修士1年)に在学の石田涼介さん、中央大学大学院理工学部情報工学専攻(修士1年)に在学の千布(ちぶ)佳菜子さん、青山学院大学理工学部化学・生命科学科(3年)に在学の大場妃香里(ひかり)さんの3名の方にご参加いただきました。
今年は8月末から9月初めの1週間が研修期間となりました。
初日の夜に歓迎会を開催しましたが、何と昨年の研修生が山口まで駆けつけてくれました。もう、それだけで今年のインターンシップも成功したのではないかと思ったほどうれしくなりました。
昨年の研修生の中には既に就職の内定をもらった方もいて、充実した学生生活を送っているようでした。
今年の研修生の皆さんは、皆弁理士を目指しているということをはっきり応募フォームに書いていて、明確な目的意識を持っているようでした。3名それぞれ異なる発明課題について、明細書を作成する実習を中心に、先行技術調査や先行商標調査の実習も行っていただきました。
一通り、簡単ながら特許事務所での仕事内容を垣間見ていただけたのではないかと思います。
最後のプレゼンでは、研修生みんなが個性と、理論的な文章の構成力や表現力を発揮していました。
毎年、短い時間で歓迎会や市内観光などにも参加いただきながら、明細書を1通書いていただくので、かなりハードな1週間を過ごしていただいているような気がします。それでも、何かを追い求めて吸収してやろうというパワーに所員一同、感服しています。
まず、関東から山口という地方都市まで来ていただくことから始まり、休む間もなく1週間が過ぎてしまい、あっという間に最終日のプレゼンというインターンシッププログラム、本当にお疲れ様でした。
今回のプログラムが、皆さんの将来に少しでも役に立つことを祈っています。
来山の節には是非事務所へお立ちよりください。また、来年のインターンシッププログラムの歓迎会には可能であれば、また参加をお願いします。来年は可能であれば、OB/OGとして研修生を少し指導していただいたり、座談会のようなこともやっても面白いかもしれないなどと考えています。来年もまたお待ちしています。
それから、いつか維新インターンシップOB・OG会の開催ができればいいなあと考えておりますので、メールアドレスに変更があれば、是非お知らせください。

下の写真の一枚目(上側)は、初日の歓迎会の集合写真です。前列右から2人目が石田さん、3人目が大場さん、4人目が千布さんです。
二枚目の写真(下側)は、プレゼン時の写真です。プレゼンターは千布さんで他の二人の研修生が熱心に耳を傾けています。

恒例によりまして研修生の皆さんに感想文をいただきましたので掲載させていただきます。

【石田さん】
群馬大学大学院の石田です。今回のインターンシップでは非常に多くの収穫を得たと思います。なかでも一番大きな収穫は、請求項の重さを実感として得たことだと思います。
初日の午後のレクチャーでは請求項1に書かねばならないこと、つづく請求項には何を求められるのか? と問われて、「37条と施行規則25条の8」とまったく実務では役に立たない解答をしてしまいました。
しかしながら、請求項についてインターンシップの五日間により以下のことを学習することができました。
・請求項はそのまま、物権的権利となるので、この語句にはそのまま価値が生まれる
・そのために、請求項に書く語句は上位概念で書き、権利範囲を広くとる
・しかし、意見書や補正を必要とする場面に備えて、明細書においては下位概念で記述し、新規事項の追加とされない書き方をする
考えてみれば、当然と見えなくもありませんが、事務所の実務と無から価値を作り出すことの重みはよく理解できたと思います。
願書に添付する図面の作図は、photo shopのパス機能を使っての作業となり、かなりの夜なべを必要としましたが、最後の発表の時に評価されて嬉しかったです。
インターンシップ生と事務所メンバーでの観光も面白かったです。毛利家の家紋たる一文字三つ星が瓦に刻まれた常栄寺をまわり、その庭園の雪舟庭を事務所のメンバーで独占したときなど、ひどく穏やかな気分になりました。
また、個人的にまわった大内館でも大内義隆卿の辞世の句の石碑やそこかしこに刻まれた大内家の家紋、大内菱に萌えあがっておりました。
周防国、長門国の歴史に感じ入り、特許実務の世界を体験した大変密度の濃い一週間だったと思います。
最後に一週間熱心に指導してくださった阿部忠人さん、本当にありがとうございました。

【千布さん】
インターンシップの一週間は私にとって貴重な体験でした。
メインの実習であった特許出願明細書作成は知的財産に興味を持ち始めて以来、一度体験してみたいと思っていたことで特に楽しみにしておりました。
実際の実習では初めてのことばかりで戸惑いましたが、丁寧に指導して頂いたおかげで完成させることができ、出来上がった書類を見たときは感動してしまいました。
特許出願明細書を書くにあたって普段では考えることのないようなことを考え、さまざまなものの見方が変わったと感じております。
また、発明品を特許にするということは思った以上に奥が深く、さらに関心が深まりました。
以前から知的財産権に関心をもち学習をしておりましたが、実際に先行技術調査や特許出願明細書を書くことに
よって、発明品を特許にするために多くの知識、能力が必要であることが分かりました。
こうして学んだことから知的財産の現場に従事することを目指すにあたっての目標ができました。
さらに、今回のインターンシップに参加したことで自分の将来、残り1年半の学生生活で学ぶべきことを見つめ直すきっかけとなりました。
所員の方々には非常に親切にご指導頂き、感謝しております。

【大場さん】
「山口での一週間のインターンは、素敵な思い出の一ページとして心に刻まれました♪」
インターン初日、「何と言って事務所に入ればよいのか」と不安になりながら、事務所の扉をたたくと所員の方が笑顔で迎えて下さり、一安心しました。最初の頃は、とても緊張していましたが、次第に打ち解けていき、最終日になると帰るのが名残惜しいほどでした。
今回参加したインターン生は皆、将来弁理士になることを志しており、同じ目標をもつ仲間と話をすることで刺激を受けました。指導員である阿部さんの御指導のもと、3人で黙々と明細書を書き続けていましたが、この作業は、想像以上に大変なものでした。書きだそうとしても分らないことが次から次へと出てきて、「なかなか書けそうで書けない」という状態が3日間続きましたが、阿部さんの御協力により明細書を無事に完成させることができました。ある本に、「弁理士として一人前になるのには10年かかる」と書いてありましたが、その意味が今回の明細書作成でよく分りました。明細書作成の中で気がついたことは、弁理士は、知的財産権のスペシャリストであるとともに、発明の良さを言葉で表現する執筆家、演出家であるということです。発明の内容を文章と図面のみで表現するのは大変難しい作業であり、発明の内容を単に頭で理解しただけでは十分ではなく、その発明をより深く観察し発明家の気がついていないことにも気づく力が必要であることを学びました。
明細書作成の技術を身に付け、この能力を上げることで、クライアントから喜ばれるのはもちろん、自分も成長させることができる弁理士という職業に、さらに魅力を感じました。これから弁理士試験に合格するまで、そして受かった後も、超えなければならないハードルはいくつもあると思いますが、そういうときは、この一週間の楽しかったインターンの経験を思い出して、一つ一つ確実に乗り越えていきたいと思います。
最後になりましたが、今回のインターンでお世話になった維新国際特許事務所の皆様、本当にありがとうございました。

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