7月最後の週末に鳥取県の大山に登ってきました。東日本に上陸した台風の影響か、雨は降りませんでしたが、山頂はガスって見晴らすことができませんでした。
 大山登山に対するチャレンジは2回目で、3年前の前回は雨で登れずじまいとなり、ふもとにあるホテルの回りを歩いているとmont-bell(モンベル)の店舗を発見しました。
 モンベルはご存じの方も多いと思いますが、野山から海、川までありとあらゆるアウトドア商品をカバーしている総合的なブランドです。最初はこの店舗にちょっとした違和感がありました。
 大山は中国地方の最高峰(標高1729m)で、登山の準備なしにここまで来て用品を調達するとは思えませんし、買ったものは自宅まで持ち帰らなければならないので、客が来ないのではないかと考えたからです。

 しかし、今回来てみると、今度はカフェ(SANDO)も併設される大山参道市場という特産品販売を行うおしゃれな店舗も少し離れた場所に出店していて賑わっていました。
 これまでアウトドア用品店は人通りの多い街中か大型店舗を誘致し易い郊外に立地していて、そこにマーケットが形成されていたと思いますが、モンベルは商品が消費されるアウトドアフィールドへマーケットを拡げる戦略を採っているように見えます。

 気になったので少し調べてみると、この大山店の他、九州では南阿蘇店、くじゅう長者原店、四国では大歩危店、北海道では大雪ひがしかわ店、中部では白馬八方店、富士吉田店、北陸では立山店、関東にも長瀞店等があり、登山やキャンプ、カヤック等を楽しめる拠点の近くにも多く立地しています。そして、これらの店の中には、登山セミナーや山道具のメンテナンス講習、カヤック試乗等が可能な所もあります。

 このような戦略はINSEAD(欧州経営大学院)のチャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授によるブルーオーシャン戦略にも沿っているように思いますし、モノ消費事業からコト消費事業へのシフトも感じることができます。アウトドアフィールドというコト消費の拠点を手つかずのマーケットとして創出することで、レッドオーシャン化した都市部や近郊エリアから抜け出すことができるのと同時に、アウトドアフィールドでは、実は、みやげ物(特産品)販売や飲食といった異業種のマーケットも自分たちにとっては未だブルーオーシャンであると気づいて複合的なコト消費事業へ発展させています。

 このモンベル、中国地方では大山店の他、広島と岡山に2店舗がありますが、とうとう山口店が今年の9月にオープンするようです。迎え撃つ既存のヒマラヤやスポーツデポ、今年の4月に井筒屋山口店に出店したばかりの好日山荘の動きも注目ですが、モンベルの戦略を山口でどのように機能・展開させようとするのか、今から楽しみです。

出典:維新国際特許事務所メルマガ[維新電信 Vol.101]