今年のサマーインターンシップは、募集の開始が遅れてしまい結局一人だけ参加という状態になってしまいました。ただ、インターンシップは大学3年や修士1年の学生さんが参加するのが通常と思うのですが、今年は筑波大学大学院数理物質科学研究科物性・分子工学専攻で修士2年の玉利泰成さんが参加してくれました。

玉利さんは、とても熱心にカリキュラムをこなしてくれたのですが、それもそのはず、来年既に某企業の知的財産部への就職が決まっているとのことでした。企業へ就職する前に、特許事務所の業務内容等を理解しておくことを決意した点はなかなか立派な判断だと思います。また、事前に去年のインターンシップ生の河村さんと石田さんとも会って情報を仕入れていたようで、SNSもフルに活用してこの山口の地に立ったというイメージです。聞くところによれば、河村さんも石田さんも既に優良企業から内定をもらっているようでうれしく話を聞きました。

また、今年は事務所内が特に忙しかったため、十分に講義や指導などをすることができなかったと思ったのですが、本人は時間を惜しんで特許出願書類の作成実習に参加し、また、所員をつかまえてはいろいろと質問をしていたようです。恒例の初日の歓迎会では焼肉屋に繰り出したのですが、所員が皆でやいのやいのつつくのですが、まじめに答えたり笑いを取ったりで積極的に歓迎会を盛り上げてくれました。

玉利さんは来年から企業の知的財産部で働くことになりますが、地方の特許事務所の経験は何かのときに活きてくると思いますので、時々はここで経験したことを思いだして、企業の知財を引っ張っていってほしいと思います。特に最近では知的財産の範囲が拡がる傾向があり、活躍の場も拡がってくると思います。海外の経験もこれからは増えてくると思いますので、是非グローバルな視点で大きな人材に育って欲しいと思います。

また、山口は史跡にも恵まれた場所ですので機会があれば山口(湯田温泉)に来て、今度はゆっくり観光でもしてみてください。その際には事務所にもお立ち寄りください。

上の写真は、玉利さんのプレゼン時のものです。
下の写真は、、最終日の修了証を手にした写真です。

恒例によりましてインターン生の感想文をいただきましたので掲載させていただきます。

【玉利さん】 
はじめに、インターンシップを開催して下さった井上所長に厚く御礼申し上げます。また、今回担当をして下さった阿部様をはじめ、所員の皆様方には業務があるにも拘らず非常に温かく面倒を見ていただきました。御感謝申し上げます。

私は、来年度から企業の知的財産部で働かせていただく予定となっていますが、出願書類の作成は特許事務所に外作していただいています。そこで、今回のインターンシップでは、出願書類を作成する際に特許事務所の方々はどのような情報を欲し、どのような視点を持っていらっしゃるのかを学びたいと思いました。

実際に出願書類を作成してみて感じたことは、「自分の考えは甘かった」の一言です。特許事務所の方は、企業の技術者や知的財産部員から発明の内容を聞いてそれを適切な言葉で表現することが仕事だと考えていました。しかし、実際はもっと奥の深いものでした。例えば今回、実習の対象となった発明は扇風機の首振装置でしたが、担当していただいた阿部様と紙でモデルを作って機構をしっかり『理解』することから始まりました。さらに、この理解はただ漠然としたものではなく、その発明を構成する過不足無い要素はどれとどれか、それらがどこにどう作用しているのか、そしてどのような効果を生んでいるのか、階層的に整理する明確な理解でした。そしてそれを文章に落とし込む際にも、私は「発明を表現する」ということにしか意識が及びませんでしたが、所員の皆様は、補正のしやすさや、他にどのような実施例も考えられるかなど、常に一歩先を見据える視点をもっていらっしゃいました。

この経験は、来年度から知的財産に係る業務を行うにあたって本当に貴重であったと思っています。出願書類の作成を経験できたことは勿論ですが、渡邊さんに入れていただいた喝が印象に残っています。「出願書類をどう表現するかにばっかり目がいっているけど、一番大事なのは特許調査だよ。」地味でも調査を怠らずに徹底できる知的財産部員になりたいと思います。

新卒で知的財産業界に入るからには、多くの経験を積んでいつかプロフェッショナルになりたいです。数年後、特許掲載公報などを通じて「玉利も少しはやるようになったな。」と維新国際特許事務所の方々に思っていただけるよう頑張ります。ありがとうございました。

これから大学の友人と獺祭を飲みます。おつまみは焼フグです。